家を建てる際、趣味や仕事のために「防音室」を検討する方は多いはずです。私もトランペットを思い切り吹くために、当初は一条工務店の標準仕様やオプションを検討しました。
しかし私は「一条工務店の標準仕様」を捨て、専門業者に依頼し、家の引き渡し後に防音工事する道を選びました。
なぜあえてハードルの高い外注という道を選んだのか、そして設計時にどのような工夫をしたのか、詳しく解説していきます!
なぜ一条工務店の標準仕様・オプションではダメだったのか?
一番の理由は、トランペットという楽器が持つ圧倒的な音量です。
トランペットという楽器は数十人規模のオーケストラの中でも2〜3人しかいないのに、本気で鳴らしたらオーケストラ全体を支配できるほどの音量を持っています。
最大音量は約108〜113dB(デシベル)とも言われ、同じような音量のものをAIに教えてもらいました。
- 100dB(きわめてうるさい)
- ガード下の電車の通過音
- 自動車のクラクション(直近)
- 地下鉄の構内
- 110dB(聴覚に痛みを感じ始めるレベル)
- ヘリコプターの近く
- 自動車のクラクション(1m程度)
- ロックコンサート(スピーカーの近く)
え、うるさ…
まさか知らずにこんな騒音を撒き散らしていたとは…調べてみて衝撃を受けました。トランペットの音って基本的に前へ向かって飛んでいくので、自分が演奏する分にはそこまでうるさいと感じないんですよね〜。
一条工務店が提供する標準的な防音施工(防音ドアや防音ボード)は、確かに生活音の軽減には効果があると思います。しかし、金管楽器を全力で吹いた際のエネルギーを抑え込むには、遮音性能がどうしても不十分だと判断しました。
「隣の部屋で家族が寝ていても、深夜でも、近隣を気にせず練習に没頭したい」
この理想を叶えるためには、家の構造の内側に独立した遮音構造をゼロから作り込む、プロ仕様の防音室が不可欠だったのです。
阪神防音との出会い
ネットで業者を探しており、偶然見つけたのが「阪神防音」という会社でした。施工事例には音楽スタジオやプロミュージシャンの自宅防音室が並び非常に興味を惹かれたのですが、そこで驚きの発見が。
施工事例の中に「××市○○様 トランペット」という記載を見つけ、「まさかあの人……!?」と。心当たりのある知り合いのトランペット吹きに、速攻でメッセージを送りました。
私:「お久しぶりです!阪神防音さんの施工事例に○○さんらしき名前があったんですが、もしかして阪神防音さんで工事されました?」
○○さん:「したよ〜!良かったら一度遊びにおいで」
渡りに船とはまさにこのこと!後日お邪魔して実際に楽器を吹かせてもらい、その圧倒的な遮音性能を肌で感じたことが、阪神防音さんへの依頼を決める決定打となりました。
なぜ「引き渡し後」の工事になったのか
本当であれば、阪神防音には建築期間中に工事に入ってもらい、入居初日から防音室が使える状態が理想でした。
しかし、ここでハウスメーカー側の制約という壁にぶつかります。阪神防音は一条工務店の提携業者ではないため、一条工務店のルールとして「引き渡し前に提携外の業者が工事するのはNG」とのことでした。
そのため、「一度建物を完成させて引き渡しを受け、その直後に阪神防音の工事を開始する」という二段階の工程を踏むことになりました。この制約が、設計上のさまざまな細かな調整を生むことになったのです。
防音室は「1階」が鉄則。そのための大胆な間取り変更
防音室を作る上で、私が最もこだわった配置転換があります。それは、「防音室を1階に配置し、その代わりに風呂・洗面・脱衣所をすべて2階へ上げる」という決断です。
なぜ防音室を2階にしてはいけないのか。そこには構造計算上の明確な理由があります。
防音材は重い→耐震性への影響
防音性能を高めるためには、高密度の遮音シートや重い材料を何重にも重ね、さらに浮き床構造にする必要があります。つまり、防音室は普通の部屋に比べて圧倒的に重いのです。
耐震設計の基本として、重いものは下(1階)にある方が建物は安定します。もし2階にこの重量物が来ると、地震の際に「頭でっかち」な状態となり、揺れが増幅され、1階の柱や壁に大きな負荷がかかって耐震性が下がってしまいます。
一条工務店という高い耐震性を誇る家だからこそ、その強みを活かすために「重い防音室は1階」という選択は譲れませんでした。その結果、スペース上の制約からお風呂などの水回りを2階に集約するという、思い切った間取りの割り切りを行いました。
専門業者を迎え入れるための設計上の工夫
引き渡し後の工事をスムーズに進めるために、設計段階から「後付け」を見越したさらさなる調整を行いました。
【床・天井】有効高を確保するための「土間引き渡し」
防音室は通常の部屋と比べて壁・天井・床の厚みが増すため、天井高が低くなりがちです。天井高が低いと視覚的に圧迫感が生まれるだけでなく音響の面でも不利となるため、下記の工夫を凝らしました。
- 床: 通常の床材を貼らず、「コンクリート土間」の状態で引き渡してもらい、その上に防音床を組むことで有効高を稼ぎました。ただこの選択には明確なデメリットがあり、一条工務店の強みである床暖房・床冷房(さらぽか)は防音室には使えません。そのため防音室にはエアコン1台設置することにしました。
- 天井: 標準の2400mmから、天井高アップのオプションを採用し2600mmへ。
【ドア】一条の標準・オプションドアは「不採用」。専用の防音ドアを二重に設置
ドアに関しては、一条工務店側のドアは取り付けないという選択をしました。一条のオプション防音ドアではトランペットの音量に耐えられないためです。
なので、引き渡し後に阪神防音側で「防音ドア」を2枚(2重)設置。一切の妥協がない「入り口」を確保しました。
【壁・窓】寸法設定の微調整と「窓なし」の選択
防音壁の厚み分、部屋が狭くなることを見越して間取りを広く設計。また、音漏れの最大の弱点となる窓は一切つけませんでした。
阪神防音さんに防音仕様の窓をつけてもらうという手もあったですが、防音仕様の窓は非常に高額な上、壁の方が防音性能が高いのです。また、別の業者で防音室を作った知人の後悔ポイントが「窓をつけたこと」という話も聞いたので、我が家では採用を見送りました。
また「防音の壁を普通の壁の上に作るなら、一条の壁紙って隠れて見えなくなるんだし貼らずに減額できるんじゃね??」と思ったのですが、壁紙は完了検査をパスするために必須なため、貼った状態で引き渡す必要があること。減額の希望は叶わずでした…。
【電気・通信】ITエンジニアのこだわり
シアタールームとしての活用も考え、阪神防音さんにご紹介いただいた、ホームシアター専門店のアバック(AVAC)さんにも設計に入ってもらいました。
- 配線の余裕: 防音壁が厚くなる分、壁内のコンセント用電気配線の長さが足りなくなるリスクを回避するため、一条工務店には電気配線を長めに余裕を残して施工してもらいました。
- 情報コンセント: 防音壁がWi-Fiの電波を遮断する可能性があったため、防音室内にもルーターを設置できるよう情報コンセントを追加しました。
- 隠蔽配線: 阪神防音さんとAVACさんで連携してもらい、ホームシアター用のプロジェクターやAV機器の配線が見えてダサくならないよう隠蔽配管を施工してもらいました。
今後の更新予定:いよいよ工事開始!
さて、こうした緻密な(執念の?)設計を経て、いよいよ現場での施工が始まります。
今後は、
- 引き渡し直後「床なし&ドアなし」ルームツアー
- 防音室ができるまでの工事レポート
- トランペットを吹いてみた!遮音性能ガチレビュー
- 床暖房なしの防音室を、IoTでいかに快適な温度に保つか(空調編)
などなど、実際の様子を詳しくお届けしていく予定です。
一条工務店で防音室を検討している方、家づくりで後悔したくない方の参考になれば幸いです。
次回の更新もどうぞお楽しみに!

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